医療スクラブの人気の柄は?医療現場に求められる白衣の役割とは

医療の白衣の中にはスクラブという種類があります。半袖でVネック、ボタンなどがないシンプルな形で、生地が丈夫で洗濯がしやすいというメリットがあります。カラーバリエーションが豊富で柄も様々なものがあるため日本でも広がりを見せていますが、ポップなイメージが今までの白い白衣とはギャップがあり違和感を覚えるケースもあります。柄入りの医療スクラブは日本でも受け入れられていくのでしょうか?

白衣の役割とは?

白衣には様々な役割があり、その中でも重要な役割は清潔さを保つということです。医療従事者は常に清潔な身なりをする必要があり、衛生面に気を配らなければなりません。そのため白衣には制菌機能や防汚加工が施されているものが多くあります。

ハードな現場でも着用に耐えられるように生地も丈夫でなければいけません。薬品を使用する場合には薬品に強い生地や、火への対策として防炎機能が求められることもあります。さらにユニフォームとしての役割もあり、白衣を着ていれば医療従事者という認識を患者や第三者に与えることができます。

医療従事者という認識は患者に安心感を与えることができ、信頼を得ることにも役立っています。医療スタッフは多くのものを持ち歩くこともあるため、ポケットの位置や数も重要です。ペンやメモ、PHSなどを入れておくための専用のポケットなどがあることで日々の業務のサポートを行うという役割を果たしています。

医師が着用することが多いドクターコートはタブレットが持ち歩けるように、タブレットサイズのポケットが追加されているタイプのものもあります。

白衣が白い理由とは?

白衣が白いのは、白衣の役割のために一番都合が良い色だったからです。白は汚れがわかりやすく、清潔な状態を保つのに便利な色でした。19世紀頃の医師は、医療の場を神聖なものとして捉えていたため礼服の色である黒いコートを着用していました。

その後、医学が進歩し科学的な根拠などが明らかになることで衛生的な考えが広がって行きました。それに伴い、医師の服も黒から白へと移り変わっていきました。医師や看護師が白衣を着用することで衛生管理がしやすくなり、見る人に清潔感を感じさせるため長年にわたって白色が採用されてきました。

白い白衣は、いつしか医師や病院のイメージとなり、白衣を着用するだけで医師だということがわかるほどになりました。診察室に入った時に医師がだらしない格好をしていたら、信頼を得ることは難しいですが、たとえ下が私服でも白いドクターコートを羽織っていれば医師であることを認識することはできます。

特に医師にとって白衣は自分が医師であるという証明書のような役割を持っているので、白いドクターコートの必要性を感じている医師は多いです。

変化する白衣の役割

衛生面や機能性、さらにはイメージなどの点から、白衣の色は白が一番だと考えられてきました。しかし、アメリカでは白い白衣は威圧的であったり、冷たい印象だという患者の声に配慮して、白色以外の白衣を着用するケースが増えてきました。

特に小児科の医療チームからは、白い白衣を着ているだけで子供に怖がられたり、泣かれたりしてしまうという声が多く上がりました。そのため明るく、優しい印象を与えられる色が白に採用されるようになっていきます。衛生管理のための技術や環境が整っている病院では、白衣は白色でなくても清潔を保つことができます。

そのため、必ずしも白色でなくてはいけないという固定観念は徐々になくなりつつあります。淡いピンクや黄色などの白衣が小児科や産婦人科などで少しずつ着用されるようになっていきます。その後、アメリカで画期的な白衣であるスクラブが人気を集め、日本でも広まったため、それまでの白衣の色や役割などが大きく変化することになりました。

人気の白衣「スクラブ」とは?

スクラブは1990年代頃アメリカで着用が始まり、その後日本でも採用され始めた医療従事者用のウエアです。参考資料…医療スクラブ

半袖のVネックTシャツの形をしていて、カラフルな色や柄があるのが大きな特徴です。スクラブはパンツスタイルと合わせることで、それまでのワンピースタイプの白衣と比較しても動きやすく活動的になることができます。

さらに1枚の単価が2,000円以内とリーズナブルなため、コスト削減にも大いに役立ちました。生地が丈夫でシワになりにくいので、家庭の洗濯機で簡単に洗えるというメリットもあります。すぐに洗えて乾きも速いので、汚れてもどんどん着替えるということが可能です。

安価なためコストをかけなくてもスペアを用意することができ、常に清潔なスクラブを着用できます。スクラブは洗濯の回転率が良いため、白くなくても衛生面を保つことが可能です。このように様々なメリットを保つスクラブは、日本でも人気になり急激に採用され始めました。

ただし、それまでの白衣の固定されたイメージがあるため、総柄のスクラブや明るい色のスクラブはポップすぎて、日本の医療の現場で違和感を覚えさせてしまうといったケースもありました。急激なイメージチェンジに患者が戸惑ってしまったというわけです。

ですが、違和感や戸惑いは最初のみで、スクラブを見慣れるにつれて「明るくて良い」「おしゃれ」という好印象に変わっていきました。

スクラブの柄は子供にも好評

スクラブは耐久性などの性能が優れているだけではなく、色やデザインが豊富なのも人気の理由の一つです。柄入りの白衣を着用するようなことは少し前の医療の現場では考えられないことでした。命を扱う医療の現場で柄入りのスクラブは派手で不謹慎に見えるという意見もありました。

しかし、ミッキーマウスなどの人気キャラクターのワンポイントや柄の入ったスクラブは、小児科の子供たちに大好評でした。病院や医師が怖いという子供にとって、スクラブの明るい色や柄はぴったりだったのです。スクラブは小児科以外にも、産婦人科やリハビリ科でも採用され始めました。

産婦人科では優しい色使いや花柄のスクラブが好まれました。高齢者が多い現場では、落ち着いた色のスクラブが着用されるなど、スクラブを現場のイメージや雰囲気に合わせてチョイスするようになりました。スクラブの柄はドット柄や浴衣のような和柄、アロハシャツのような植物をあしらった柄なども人気です。

一見して白衣と思えないようなおしゃれなデザインが多いスクラブは、明るい病院作りのために積極的に導入されています。